【演技構成点】構成(コンポジション)を徹底解説!

こんにちは、まるです! 


あなたには『お気に入りのプログラム』
はありますか?

多くの方は
この選手のこのプログラムが好き!

もっと言えば、
このプログラムのこの動きが好き!!』

というものがあるかと思います。


構成(コンポジション)では、
プログラム全体の『デザイン』
選手の演技を通じて評価します。

振付が評価される項目
と言っても過言ではありません!
(昔は “Choreography” = “振付”
という項目でした)


ほとんどの場合、
選手は事前に曲のどこで何をするかという
『デザイン』すなわち『振付』
が決まったプログラムを
入念に準備して、試合に臨みます。

その日のコンディションによって
アドリブを入れる事はあまり無いはずです!


では『構成が良いプログラム』
とはどのようなものでしょうか?

今回も定義に沿って、
詳しく見ていきたいと思います!

本日のテーマ

・構成って結局何なの?
・『構成がいい演技』について

最後におすすめのお手本プログラムも
紹介しています。


振付をする時に考えるべき事
振付以外の部分で大事なポイント
なども話していきますので、
後輩の振付や指導をする先輩も必見です♩

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構成の定義と評価基準

構成は以下のように定義されています。

計画的、発展的、および/または独創的な各種動作の構成のことで、音楽のフレーズ、空間、パターン、構造の諸原則に従う。
評価基準は以下;
・ 目的(アイデア、コンセプト、ビジョン、雰囲気)
・ パターン/氷面全体の活用
・ 空間と動きの多次元的利用
・ フレーズと構成

(楽曲の区切り毎に合わせた振り付けと動き フレーズ = メロディラインの自然な一区切り)
・ 構成の独特性

2019 プログラムコンポーネンツチャート より引用


氷面や空間の利用 といった
理性的・論理的な側面と、
音楽表現や振付 といった
感性的・芸術的な側面
の両方が評価されます。

構成の評価基準の詳細

各評価基準について、もう少し詳しく見てみましょう!

目的(アイデア、コンセプト、ビジョン、雰囲気)

ここでは、動作やその配置が

  • 音楽のフレーズ・構成に対して
    理にかなっているか
  • 動作によってプログラムの
    コンセプト雰囲気(ムード)を
    作り出せているか?

を評価します。

※ 音楽のフレーズについては後述の
 『フレーズと構成』の項目で解説しています!

 

○ 理にかなっている例

  • タンゴの曲でタンゴらしい動作をする
  • テンポが速いフレーズで細かいフットワークを行う

× 理にかなっていない例

  • タンゴの曲でバレエの動作をする
  • ゆったりしたフレーズで激しいステップを行う


理にかなった動作ができていなければ、
『えっ、何でここでこういう動きをする?』
となります。

そうなると、
演技の雰囲気やムードというのは
感じられなくなります。

パターン/氷面全体の活用

文字通り
リンク全体を使っているかどうか
という事です。


『氷面』が2次元の面を指すのに対して
次に出てくる『空間』は
3次元の範囲を指します。

空間と動きの多次元的利用

この項目では、
全身の各所を色んな角度や大きさで動かして
(≒多次元的に)、
この空間をめいっぱい使っているか
を評価します。

この『多次元的に』という言葉に関しては、
個人的にはこういうイメージを持っています。

フレーズと構成


フレーズとは、
メロディーラインの一区切り
を指します。
大抵のプログラム音楽は
複数のフレーズで構成されています。

ここでは、
各フレーズに合った動作をしているか
次のフレーズにスムーズに移行できているか
が見られています。

フレーズが切り替わるタイミングで
動作や雰囲気が
ガラッと変わる演技は、
この部分が評価されます。

構成の独特性


振付動作そのものや、動作の配置の
オリジナリティ、すなわち
芸術性、創造性が評価される項目です。

独創性がある
というのは、
超がつく定番曲でも
初めて聴く珍しい曲でも、
『新たな表現の一面が見えた!』
と感じさせるものを言います。

同じ曲を使ったプログラムでも、
振りや配置の違いで
様々なキャラクターが
できあがりますよね!

構成が高いのはこんな人!

評価が高い演技の特徴

ここまでに構成の定義と評価基準を
細かく見てきました。

次に、構成の評価が高い演技の
特徴をいくつかあげたいと思います!

  • 動作の目的が明確で、理にかなっている
  • 要素や動作の配置・実施バランスがいい
  • 音楽のフレーズが感じられる

評価を高めるために考えるべき事

構成の評価を高めるためには、
私は次の2つの段階があると考えています。

デザイン(振付)そのものを良くする
 → 振付をする側の力量

 振付をする側の人であれば、
 評価項目を意識した
 デザインを戦略的に構築しましょう!

ここまでに解説したように、
スケートにおいては
振付= 感性・芸術性
だけではありません!


デザインの再現性・実行度を高める
 → 実際に滑る側の力量

 ジャッジは選手の演技を通してしか
 デザインを評価できません。
 
 振付の良さを生かすも殺すも、
 実際に滑る選手次第です!

踊りが苦手… という方も、
まずはリンクを広く、
自分の周りの空間を大きく
使うことから
意識していきましょう。

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イチ押しお手本プログラムの紹介

実際に名演技の構成を堪能しましょう!

お気に入りが多すぎてかなり迷いましたが、
構成の要素が特に印象的なものをご紹介します♩

本郷理華 選手
  2016 世界選手権 女子SP

最初から最後まで、
シルク・ド・ソレイユの世界観に
どっぷり浸れるプログラムです。


全身の各所を
絶妙な角度かたちで
動かす
独特な振付
が、
音楽のコンセプトや雰囲気
作り出しています。

個人的に本当にすごいと思うのは、
首と頭をあれだけ動かしながら踊れる事です。
陸上でもきついです。笑


鈴木明子さんの作品の中でも
特に好きなプログラムの一つです!


樋口新葉 選手
  2017 グランプリシリーズ中国大会 女子FS

めちゃくちゃかっこいい女スパイに
銃で狙われ、視線で射抜かれます。

音楽の目的に合う動作
盛り込まれているだけでなく、
氷面と空間を大きく使っている
のが注目ポイントです。

樋口選手は3次元的な空間の利用が
ものすごく上手です!
身体能力の高さが見て取れます。
その他のSSやINも素晴らしいです!

シェイ=リーン・ボーンさん振付です。


ジェレミー・アボット選手
  2014 全米選手権 男子SP

前衛的な曲の雰囲気に
完全にマッチした
独創的な振付に持っていかれました…

ユニークな動作が多いだけでなく、
空間の多次元的な利用がとにかくすごいです。
特に最後のステップは必見です!
体幹が強いとかいうレベルじゃありません。笑

細かいフレーズごとの動作の使い分けも、
さすがとしか言いようがありません。

この選手はその他のPCSの項目も
非常に高く評価されています。
大好きなプログラムが多いです(照)


ロビン・カズンズさんの振付です。


高橋大輔 選手
  2010 世界選手権 男子FS

一つ一つの動作が
雰囲気やストーリーを作り上げていて、

まるで一つの映画を見ているようです。

まさに目的(コンセプトや雰囲気)と
フレージングのお手本プログラム
です。
どんなキャラクターを演じているのかが
はっきり分かりますし、
雰囲気に完全に飲み込まれます…。

パスカーレ・カメレンゴさんの
振付の精巧さと、
高橋選手の表現力の高さ
ものすごい相乗効果が
生み出されていると感じました!

この選手はプログラムによって
キャラクターが全く違いますよね。
PE・CO・IN、全方面で圧巻の表現力の高さです。

最後に

今回は構成について
かなり詳しく説明していきました!
芸術的・抽象的な要素も多い項目なので、
分かりにくい部分もあったかと思います。

先ほども言ったように、
フィギュアスケートにおいて
『いいデザイン(振付)』
芸術的・感性的な要素だけでなく、
論理的で理性的な要素も多く含まれます。

『芸術的センスがないから…』
という理由で、振付に対して
ハードルを感じている方。
論理や戦略次第でいいデザインが
組み立てられます!

ぜひチャレンジしてみて下さい!!

また、2度目になりますが
プログラムのデザインの良さを
生かすも殺すも滑り手次第です


いずれにせよ、この項目は
事前準備がものをいいます。

曲かけ練習やオフアイスの時間を使って、
ぜひ表現を洗練させていってください。


そうする事で、
COだけでなく、PEやINも
自然に洗練されていきます!

本日のポイント
  • 構成を評価基準から理解する
  • 理性・論理性/感性・芸術性
    の両面が評価される
  • 評価を上げるためには
    振付そのものと
    振付の再現性を高めること

演技構成点 (PCS) 5項目全てを
詳しめに解説しています♩
SS / TR / PE / CO / IN

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