こんにちは、まるです!
選手の視線にドキッとして目が離せない…
見てるこっちも気持ちが高まってきた!
ノーミスでスタンディングオベーション!
こうした引き込まれる演技や
観客との一体感を生み出す演技では、
パフォーマンスが高く評価されます。
今日はこのパフォーマンスについて、
定義を見ながら詳しく解説していきます!
・パフォーマンスって結局何なの?
・パフォーマンスの評価が高い演技の特徴
最後におすすめのお手本プログラムも
紹介しています。
概念的な要素が多いので、
語りすぎて長くなりました。笑
目次で気になるところから見てみてください♩
ごっちゃになりやすい
パフォーマンス、構成、音楽の解釈
の違いは後日詳しく考察予定です!
パフォーマンスの定義と評価基準
パフォーマンスは以下のように定義されています。
スケーター/ペア/カップルが氷上で音楽と構成の意図を示すにあたり、体の動き、感情の表現、知性の表出が十分にあること。
パフォーマンスを評価する際には以下を考慮しなければならない。
・ 体の動き、感情の表現、知性の表出
・ 表現の映し出し
・ 身のこなしと動作の明確さ
・ 動きやエネルギーの多様さとめりはり
・ 独特性/個性
・ ユニゾンと「一体性」(ペア・スケーティング、アイス・ダンス)
・ パートナー間の空間的認識(ペア・スケーティング、アイス・ダンス)
2019 プログラムコンポーネンツチャート より引用
簡単に言えば、その曲と振り付けを
どう表現しようとしているか?
観る側にその表現が伝わっているか?
を評価します。
パフォーマンスの評価基準の詳細
各評価基準について、もう少し詳しく見てみましょう!
体の動き、感情の表現、知性の表出
![](https://figureskating-365.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_9032-800x412.jpeg)
どのように表現するかを選手自身が
自分の中で消化して(知性)、
それを体の動きや感情の表現によって
表せているかどうか?という事を指します。
![](https://figureskating-365.com/wp-content/uploads/2020/04/380d5cc9beff0c140db9e500aad8936b.jpg)
与えられた振り付けを
ただこなすだけは NG
ということです!
体の動きは言葉通り、
感情の表現は目線や表情などがポイント
になると考えています。
表現の映し出し(投射)
投射とは、
観客を引き込んだり、
観客とのつながりを作り出す
ことを指します。
投射に関しては、私は
コンサート型 と 映画型
の2つのイメージを持っています(笑)。
- コンサート型
音楽に合わせて観客に視線やアピールを投げかけたり等、
見ている人を巻き込みながら一緒に盛り上がるタイプの演技です。 - 映画型
恋愛映画のワンシーンのように、
そこに作り上げられた世界に引き込むタイプの演技です。
投射では「観客とのつながり」を
一つの指標としていますが、
必ずしもコンサート型のように
観客に訴えかけるような動きだったり、
大げさな動きや表現が
要求されている訳ではありません。
映画型のように、
恋愛映画なら二人だけの
完結した世界だったり、
その人だけの世界観を
静かに表現するのでも良いのです。
![](https://figureskating-365.com/wp-content/uploads/2020/04/380d5cc9beff0c140db9e500aad8936b.jpg)
映画のラブシーンって、
こっそり二人の世界を
のぞいているようで、
ドキドキしちゃいますよね…
個人的には、
★体の動き、感情、知性
→ 選手側 = 表現を行う側
★投射
→ 見る側 = 表現を受け取る側
にフォーカスしている感覚です。
身のこなしと動作の明確さ
身のこなしとは、最初から最後まで
パフォーマンスが継続しているか?
という事です。
例えば、
- 失敗が重なってしまい、
誰が見てもテンションがガタ落ちしてる - 疲れでだんだんと体の動きや表情が
弱々しくなってしまった
というのは継続性がない、と言えます。
また、
転倒は演技を中断させるもの
と考えられているので、
パフォーマンスの評価に大きく影響します。
動作の明確さとは、
指先や腕のライン、
ポジションや動かし方など、
魅せるための体の使い方の事です。
バレエの美しさだけが正解ではありません。
例えばヒップホップやコミカルな曲であれば、
指先がピン!と伸びてなくてもいいんです。
『あえてこうしてるんです!』
という意図が伝われば、
評価されます。
また、
フリーレッグが曲がっていたり、
指先がだらんとお化けのようにならないよう、
基本的な形をきっちりする事も大事です!
その動作が無意識か意図的かは、
見ていて結構分かりますよ!
![](https://figureskating-365.com/wp-content/uploads/2020/04/380d5cc9beff0c140db9e500aad8936b.jpg)
動作が美しい選手は、
どの瞬間を切り取っても絵になります!
動きやエネルギーの多様さとめりはり
動きの多様さとは、
身体の色んな部分を使っているかどうか
という点で、
動きのバリエーションがあるか
を指します。
例えば、
指先、手、腕、肩、首、上体
などを使えているか、という事です。
めりはりとは、動きの強弱を指します。
例えば、
動きのリズムやテンポを変えたり、
動きの形や力強さ、大きさを変えたり、
という事です。
![](https://figureskating-365.com/wp-content/uploads/2020/04/380d5cc9beff0c140db9e500aad8936b.jpg)
同じような動きばかりだと
「またこれか…」
とだんだん飽きてきてしまいます。
逆に、多様さとめりはりが豊かだと
アクセントが散りばめられて、
見ている人を飽きさせません!
独特性/個性
独特さやその人ならではの個性は、
プログラムをとても印象的なものにします。
小塚崇彦さんの本の中で
とても印象に残った一節を紹介します。
「これをやれば点数が出る」となると、みんなそれをやりますから、正直なところ、個性はなくなっていきます。(中略)
小塚崇彦(2019)『フィギュアスケート 氷の上で感じた世界』扶桑社(256) より引用
個性を見せ続けた存在として、浅田真央さんがいます。彼女はトリプルアクセルをずっと続けていました。(中略)それでも、自分の個性、思いというものをちゃんと持って跳び続けたからこそ、たくさんの人を魅了する唯一無二の存在になったし、浅田真央選手という人は魅力的なのだと思っています。
荒川静香さんのイナバウアーも
一つの個性として確立していますね。
他にも佐々木彰生選手や
カロリーナ・コストナー選手など、
個性を感じさせる魅力的な選手は
挙げればキリがありません。
(ペア・ダンスのみ)ユニゾンと「一体性」
ここでは、足元に限らず
全身の一体感が見られています。
また、必ずしも全く同じ動きを同時にしなくても、
一体感を感じさせる動きであればOKです。
(例)お互いが補完し合うような動き等
(ペア・ダンスのみ)パートナー間の空間的認識
ここでは、
- どれくらい近距離で滑れるか、
- 距離感を維持したり、
- 意図に合わせて自在に調節できるか、
といった事が見られています。
英語では “Space Management”と
表現されます。分かりやすいですね!
パフォーマンスが高いのはこんな人!
評価が高い演技の特徴
ここまでパフォーマンスの定義と評価基準を
細かく見てきました。
ここで、パフォーマンスの評価が高い演技の
特徴をいくつかあげたいと思います!
- ポジションや姿勢の一つ一つがいい
- 視線や表情にグッとくる
- 最初から最後まで演技が途切れない
- 観客が盛り上がっている、前のめりになっている
などなど、
思い浮かぶ演技もあるかと思います。
評価が高い演技はここがいい!
では、このような演技は
何が違うのでしょうか?
私は次の3つの要素があると考えています。
① どう表現しようとしているか(=知性)
が感じられる部分が多い
パフォーマンスの土台となる部分です。
② 表情や視線の作り方、動きが絶妙
これ、本当に難しいんです。
優雅な白鳥を演じたつもりが、
溺れかけのアヒルだと言われたり、
なんてことはよくあります。
③ミスが少なく、
最後まで集中力が保たれている
転倒やミスは、それ自体が
演技を途切れさせるので、
少ないに越したことはありません。
ちなみにパフォーマンスは
その日の出来不出来やコンディションが
大きく影響するので、
同じプログラムでもブレが出やすい項目です。
![](https://figureskating-365.com/wp-content/uploads/2020/04/380d5cc9beff0c140db9e500aad8936b.jpg)
『失敗したどうしよう…焦る…』
『今日ノってる!最高!』
といった精神状態も結構影響します!
イチ押しお手本プログラムの紹介
ここまで長々とお話しましたので、
実際に名演技のパフォーマンスを堪能しましょう!
★ 宮原知子選手
2019 グランプリシリーズ 中国大会 女子FS
苦しみを共有しているような、
泣きたくなる気持ちになりました…
推したいところはたくさんありますが、
特に注目いただきたいのは、
動作のバリエーションが
豊かすぎる事です。
ポジションの独特さ、
全身の各所を細やかに使った多様さ、
動きのテンポ・強弱などのめりはりなど、
これほど多彩に動かせる選手はそういません。
★ 鈴木明子選手
2014 世界選手権 女子SP
クライマックスに向かうにつれて、
ドラマのような感動を感じさせます。
特に、曲が盛り上がる時の
エネルギーがものすごいです。
こう、ブワッと、溢れ出るような。。。
語彙力不足で表しきれません笑
動きの強弱や表情、
スピード感(爆走)、
リズムや間の取り方など、
全部が相乗効果を生み出しています。
この選手の大きな魅力の一つですね。
★ ステファン・ランビエール選手
2008 欧州選手権 男子FS
ピタッと決まるポジションの一つ一つが
かっっこいいです。。。
ステップ2つだけで何回再生したことか!
今回これを選んだポイントは、
動作の明確さがはっきりと見て取れるためです。
手指の細やかな使い方や動きのめりはり、
ブレない上半身など、
バレエ的な動きではなく
フラメンコの体の使い方が終始徹底されています。
22歳と思えぬ雰囲気と色気ですね。。
この選手もCO、PEで高く評価されています。
★ エフゲニー・プルシェンコ選手
2001 エキジビション
これぞパフォーマンス!!
観客の盛り上がり方がすごいです!
競技ではありませんが、
18年経った今でも私の中で
『プルシェンコといえばこれ!』
と強烈に印象付けられています。
解説者も
信じられないほどの個性だ HAHAHA !!!!
と終始爆笑してます。
解説聞いてるだけでもおもしろいです!
あえてまじめに分析してみました。
- 表情や細かい動きがぴったりすぎる
- 動きのテンポや強弱、スピード等が
一定でなく、めりはりがある - 予想外の連続で観客を飽きさせない
- 完全にコンサート型の投射
ちなみにこのナンバーは今でも大人気らしく、
2018年にもやってたようです。
最後に
今回はパフォーマンスについて
かなり詳しく説明していきました!
抽象的な部分も多かったかと思いますが、
いかがでしたでしょうか?
フィギュアスケートは、魅せてなんぼです。
が、バレエや舞台と大きく異なるのは、
失敗と隣り合わせだということです。
この失敗のリスクを孕むからこそ、
成功した時に感じる高揚感が
見る人の心をより一層動かすのだと
思います。
また、こうした部分に
フィギュアスケートという競技の
魅力や面白さを感じますよね。
パフォーマンスは
表情や視線、ポジション一つ変えるだけで
大きく変わります!
ぜひ今一度、ご自身のプログラムで
『どう表現したいか?』
をじっくり考えてみてください。
昨日よりも表現を深められる糸口を
間違いなくつかめるはずです!
- パフォーマンスを評価基準から理解する
- パフォーマンスの評価が高い演技は、
表情、視線、体の動きが作り込まれている
/観客が盛り上がってる - 演技を途切れさせる転倒やミスは
パフォーマンスに大きく影響する
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