こんにちは、まるです!
演技と音楽が完全に融合
していて、むしろ
音楽がついてきてるみたい
という演技もあれば、
音楽が完全にBGM化…?
という演技を見たことも
あるのではないでしょうか?
音楽の解釈 / タイミング
の項目では、いかに
音楽のタイミングに合わせて
音楽の特徴を表現できているか
が評価されます。
今回はこの音楽の解釈について、
定義を見ながら詳しく解説していきます!
最後におすすめのお手本プログラムも
紹介しています。
他の項目と比べて感覚的に
理解しやすいかと思いますので、
ここでは
『音に合わせる』という事を
もう一段階深く理解して
いただければ思います♩
音楽の解釈 / タイミングの定義と評価基準
音楽の解釈 / タイミングは
以下のように定義されています。
音楽のリズム、特徴、内容を個性的で創造的かつ純粋に氷上の演技へ移し換えること。
2019 プログラムコンポーネンツチャート より引用
評価基準は以下;
・音楽に合った動作とステップ(タイミング)
・音楽の特徴/雰囲気およびリズムの表現(はっきり特定できる場合)
・音楽の細かな部分やニュアンスを反映する技巧
・音楽の特徴とリズムを反映するスケーター同士の関係(ペア・スケーティング、アイス・ダンス)
・リズム・ダンスでは主としてリズミカルなビートに乗って滑走すること、フリー・ダンスではビートに合わせた滑走とメロディに合わせた滑走のバランスがよいこと(アイス・ダンス)
PCS5項目の中で、一番
音楽そのものの表現に
フォーカスしています!
音楽の解釈の評価基準の詳細
各評価基準について、もう少し詳しく見てみましょう!
音楽に合った動作とステップ(タイミング)
ここでは、動作が
音のタイミングに合っているか
を見ています。
太鼓の達人で合わせる、
あの感じです (ドドン)
また、ただ単に音のタイミングに
合わせるだけでなく、
リズムやテンポを意識した
動作をする事で、より一層
『音に合っているな』
と見る側に感じさせる
事ができます。
・音楽の特徴/雰囲気およびリズムの表現
音楽の特徴というのは、
その音楽が持つ性質を指します。
雰囲気というのは、その音楽が
聞き手に感じさせるフィーリング
の事を指します。
言葉にすると少し分かりづらいので、
例として浅田真央選手の
2つのワルツを比較しながら
見ていきましょう!
(曲名をクリックすると浅田選手の動画にとびます)
①くるみ割り人形 花のワルツ
(2005 グランプリファイナル 女子FS 前半)
特徴
- ワルツのリズム
- 柔らかく軽快な音が多い
- 明るく華やかな曲調
フィーリング
- 明るくハッピーな気持ちにさせる
② 仮面舞踏会 ワルツ
(2008 グランプリファイナル 女子FS)
特徴
- ワルツのリズム
- 重低音・力強い音が多い
- 妖艶で華やかな曲調
フィーリング
- ハラハラドキドキな気持ちにさせる
- ハッピー感はあまりしない
同じワルツのリズムでも
特徴と雰囲気が
全然違いますよね。
リズムの表現というのは、
そのリズムに特徴的な
表現をすることを指します。
タンゴのリズムなら
タンゴらしい動きを、
といった感じです。
音楽の細かな部分やニュアンスを反映する技巧
簡単に言えば、ここでは
音楽の細かい音や絶妙さを、
動作を通じて
いかに表現しているか
を評価します。
ここで、この項目を考える上で
ポイントとなる2つの概念
『フィネス』と
『ニュアンス』
について解説します!
実はこの評価基準自体が
『フィネスを利用しているか?』
を見ています。
また、フィネスには
- 選手がいかに細かく
音を感じ取っているか - 感じた細かな音を
いかに動作として
表現できているか
の2段階のスキルが含まれると
考えています。
ニュアンスに関しては、個人的には
作曲者や演奏者の
絶妙〜な感覚やこだわり
だと捉えています。
フィネスは
音楽に合わせる選手の感性に、
ニュアンスは
音楽の作曲者・演奏者の感性に
焦点を当てています。
音楽の特徴とリズムを反映するスケーター同士の関係
ここでは、
音楽の特徴やリズムが
相手(ペア・ダンス)や
他のメンバー(シンクロ)
との関わり方においても
表現できているか、
を見ています。
例えばダンスの演技で、
メアリー・ポピンズと
オペラ座の怪人 を演じる場合、
二人の関係性の表現が
同じということはないですよね。
以下、私が解釈している全体像です↓
音楽の解釈が高いのはこんな人!
評価が高い演技の特徴
ここまでに定義と評価基準、
フィギュアスケート特有の概念を
細かく見てきました。
次に、評価が高い演技の
共通点をあげたいと思います。
- 音のタイミングに合っている
と感じさせる
動作の量、時間が多い - 動作・表現が
音楽の特徴に合っている
と感じさせる
2つ目は
パフォーマンス(PE)や
構成(CO)の要素も
強いかと思います!
評価を高めるためにできる事
音楽の解釈/タイミングの
評価を高めるためには、
私は以下の3つのアプローチが
できると考えています。
①聞き取れる音♩の量を増やす
そもそも音を聞き取れて
いなければ、
合わせる事などできません。
音楽を構成している『音』を
一音でも多く認識するために、
とにかく音楽を聴き込みましょう!
不思議なことに、段々と
聞き取れる音が増えますし、
増えた分だけ
音楽への理解が深まります。
②表現する音の量・時間を増やす
聞き取れる音が増えた後は、
表現する音の量・時間を
増やしましょう!
振付を変える・増やすのも
もちろん有効ですが、
1つ1つのストロークやクロス、
足の踏みかえなどの
基本的な動作でも、
音を意識して行うだけで
全然違ってきます。
③タイミングを合わせる
最終的にここです!!
どれだけ音を聞きとれていても、
どれだけ音楽の特徴を表現しても、
タイミングが合っていなければ
台無しです!!
ああ…この音に合わせようとしてるんだろうなあ…
と残念感が出てしまいます…
レベル獲得や振付をこなすのに
集中するあまり、
音楽がないがしろになる事は
極力避けましょう!
イチ押しお手本プログラムの紹介
実際の演技を見てみましょう!
ここで紹介している演技は、
PE・COも素晴らしいですが、
ぜひ一度音楽・音の表現にのみ
注目してみてください。
★ エフゲニア・メドベデワ 選手
2018 オリンピック 女子FS
表現している音の
細かさと量がものすごいです。
表現していない動作・時間が
ほとんどなく、
ただクロスする時や
足を踏み変える時ですら、
全身のどこかで
音を表現しています。
身体・表情の使い方や
特徴的な振付など、
PEやCOの素晴らしさが
目立ちますが、
個人的にはこの選手が
特にずば抜けているのは
INの部分だと思っています。
★ 佐藤有香 選手
1998 世界プロフィギュア選手権
まさに音楽を表現している
明るく華やかなワルツです。
明るく華やかな曲調、
柔らかい音などの
音楽の特徴や、
幸せな気持ちにさせる
音楽の雰囲気などが
体の使い方や表情、
動作のめりはりで
見事に表現されています。
ワルツのリズムに
合わせた動作も
所々に散りばめられています!
★ 羽生結弦 選手
2020 四大陸選手権 男子SP
演技と音楽が完全に融合しています。
むしろ羽生選手が音楽を
奏でているかのような2分半です。
羽生選手自身が
個々の音や音楽を
どう感じているかが、
細かく繊細に表現されているように感じます。
これがフィネス…!
と感じさせる演技だと思います。
羽生選手はジャンプや
その他のPCSも素晴らしいですが、
特に音楽に対する感性の高さ、
繊細さを感じます。
★ アンドレイ・クトヴォイ 選手
2019 ジュニアグランプリ クールシュヴェル大会 男子FS
13歳とは思えぬ、
シニア顔負けの圧巻の表現力です。
音楽の特徴や細かい音を
多様な動作や絶妙なタイミングで
表現しています。
特に動作の力強さや緩急などの
めりはりのつけ方が良く、
音楽の各フレーズの特徴・雰囲気に
ぴったり合っています。
動作のめりはりはPE、
音楽フレーズの表現はCOで評価されます。
PE、CO、IN、全てが素晴らしいです。
13歳でこれだけの表現力…
この先が楽しみで仕方ありません!
最後に
音楽に合っているのと
いないのとでは、
同じ動作・振付でも
振付の良さの伝わり方、
引き込み力が全く違います。
とはいうものの、
ジャンプやステップなど
音にばかり意識を
向けられない場面も
ありますよね。
また、音を取れる部分が
多いに越した事はありませんが、
音やリズムが
ジャンプのタイミングに影響
されないように
しなければなりません。
実際に3Aや4回転などの
高難度のジャンプを跳ぶ際は、
自分のジャンプの
リズム・タイミングを優先
することの方が多いと思います。
逆に音楽に合わせて
ジャンプを跳べる人や、
表現としてジャンプを跳べる人は
本当にすごいんです。
滑る方は、
ぜひ音楽を聞き込んで、
より一層音を意識して
滑ってみてください!
見る方は、ぜひ演技を見るときに
一度『音の表現』にだけ
注目して見てみて下さい。
間違いなくフィギュアスケートの
表現への理解が深まります!
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