こんにちは、まるです!
『ジャンプやスピンが演技に溶け込みすぎて、
もはや表現の一部だった』
という演技もあれば、逆に
『ジャンプの印象しか残っていない…』
と感じた事はありませんか?
難しいジャンプやエレメンツをこなすのは
大変素晴らしい事ですが、
それはプログラム全体の一部分です。
むしろジャンプやスピンをこなしている時間よりも、
その間のつなぎの方が長いのです。
エレメンツをつなぐ
『トランジション』に
優れるプログラムほど、
技術的にも芸術的にも
魅力的で印象的になります。
最後に見ていてわくわくする
プログラムもご紹介しています♩
トランジションの定義と評価基準
トランジションは以下のように定義されています。
要素をつなぐ部分で、一定の目的のもと、複雑なフットワーク、ポジション、動作、ホールドを多彩に組み合わせたもの。
評価基準は以下;
・要素から次の要素への連続した動き・多様さ
・難しさ
・質
2019 プログラムコンポーネンツチャート より引用
この項目では要素間の動作を評価するので、
ステップシークエンスや
コレオシークエンス中の
動作・ステップは評価の対象外です!
トランジションの評価基準の詳細
各評価基準について、もう少し詳しく見てみましょう!
要素から次の要素への連続した動き
連続した動きとは、
要素の終わりから次の要素のはじめまで
途切れず一連の流れになっているか、
という事を指します。
ジャンプを跳んで 〜 滑って 〜
ちょろっとつなぎの動作を入れて
〜 跳ぶ準備で滑って 〜 ジャンプ
というのはエレメンツとつなぎの動作が
分断されていると見なされ、
連続性があるとは言えません。
多様さ
多様さとは、
様々な動作やステップの種類、
ターンの多方向さを指します。
同じ動きや同方向の回転だけでは
評価されませんし、
「またこれか、、、」と
見ている側が飽きてしまう事も。
逆に、多様な動きが組み合わさった
トランジションは評価が高いだけでなく、
見ていてわくわくします!
難しさ
難しさには、様々なパターンがあります。
いろんな方向のターンを組み合わせたり、
動作を美しくエレガントにこなしたり、
体幹に影響を与える動作を行ったり、
難しいステップを完璧にこなしたり。
またこれらを組み合わせたものであったり、
と無限大です。
質の高さとも連動する部分があります。
質
トランジションでは動作の質も見ています。
例えば、
流れるように加速するターンや、
深いエッジに乗り続けたまま滑る、なども
質の高いトランジションとして評価されます。
必ずしも動作の数が多ければいい
というものではありません。
難しい・質が高い
と判断される事が重要です!
(連続性や多様性は難しさを上げます)
イチ押しプログラムの紹介
トランジションはエレメンツをこなす上で
リスクを伴うので、
プログラムの難易度が格段に上がります。
これから紹介する選手は、
見事なトランジションを
こなしていたり、
あっと驚く動きを入れていますので、
楽しみながらご覧ください!
★ カミラ・ワリエワ選手
2019 ジュニアグランプリファイナル 女子FS
量と難しさが人外の業です。
ほとんど常にターンや動作をこなしています。
持ち前の柔軟性はさる事ながら、
体幹に影響を与える動きも
もはや難しくないのでは?と思わせてしまう程
自然にこなしています。
今後の成長が楽しみです!
★ ケビン・エイモズ選手
2019 グランプリファイナル 男子SP
3Aとフライング・シットをつなぐ部分、
その斬新さと難しさに3度見しました。
また、難しいだけでなく
一連の流れとしても素晴らしいです。
こういった驚きは見る人を本当にわくわくさせますし、
選手とプログラムの個性を強烈に印象づけます。
この選手はパフォーマンスなど
他のPCSでも高く評価されています!
余談ですが、得点が出た時の喜び方を見て、
この選手をとても好きになりました笑
★ ジェイソン・ブラウン選手
2014 全米選手権 男子SP
トランジションといえばこの選手!
ジャンプがもはや表現になる程溶け込んでいます。
曲の最後のコレオ・シークエンスも
どこが終わりなのか分かりません。
この選手はトランジションだけでなく、
パフォーマンスやコンポジションも非常に評価が高く、
芸術としての魅力を感じるプログラムばかりです!
最後に
ジャンプの難易度が上がれば上がるほど、
助走や気持ちの準備が必要になるので、
トランジションが疎かになったり、
優先順位が下がる事はしばしば見られます。
また、学生のロークラスの試合では
採点項目に含まれない事もあるので、
やはりスケーティングやパフォーマンスより
一段階上の、応用的な項目だと思います。
とはいえ、難易度は個人によりけりでも、
様々なトランジションを入れる事は
スケーティングスキルの向上につながる
と私は考えています。
初めはコースを辿るので
いっぱいいっぱいかと思いますが、
プログラムに慣れてきた方、
もう一段階完成度を上げたい方は、
ぜひつなぎの連続性や質を意識しながら
練習してみてください!
また、後輩の振り付けをする先輩は、
ぜひ後輩の成長につながるように
レベルに応じて多彩なトランジションを
組み込んでみてください♩
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