こんにちは、まるです!
選手の視線にドキッとして目が離せない…
見てるこっちも気持ちが高まってきた!
ノーミスでスタンディングオベーション!
こうした引き込まれる演技や
観客との一体感を生み出す演技では、
パフォーマンスが高く評価されます。
今日はこのパフォーマンスについて、
定義を見ながら詳しく解説していきます!
最後におすすめのお手本プログラムも
紹介しています。
概念的な要素が多いので、
語りすぎて長くなりました。笑
目次で気になるところから見てみてください♩
ごっちゃになりやすい
パフォーマンス、構成、音楽の解釈
の違いは後日詳しく考察予定です!
パフォーマンスの定義と評価基準
パフォーマンスは以下のように定義されています。
スケーター/ペア/カップルが氷上で音楽と構成の意図を示すにあたり、体の動き、感情の表現、知性の表出が十分にあること。
パフォーマンスを評価する際には以下を考慮しなければならない。
・ 体の動き、感情の表現、知性の表出
・ 表現の映し出し
・ 身のこなしと動作の明確さ
・ 動きやエネルギーの多様さとめりはり
・ 独特性/個性
・ ユニゾンと「一体性」(ペア・スケーティング、アイス・ダンス)
・ パートナー間の空間的認識(ペア・スケーティング、アイス・ダンス)
2019 プログラムコンポーネンツチャート より引用
簡単に言えば、その曲と振り付けを
どう表現しようとしているか?
観る側にその表現が伝わっているか?
を評価します。
パフォーマンスの評価基準の詳細
各評価基準について、もう少し詳しく見てみましょう!
体の動き、感情の表現、知性の表出
どのように表現するかを選手自身が
自分の中で消化して(知性)、
それを体の動きや感情の表現によって
表せているかどうか?という事を指します。
与えられた振り付けを
ただこなすだけは NG
ということです!
体の動きは言葉通り、
感情の表現は目線や表情などがポイント
になると考えています。
表現の映し出し(投射)
投射とは、
観客を引き込んだり、
観客とのつながりを作り出す
ことを指します。
投射に関しては、私は
コンサート型 と 映画型
の2つのイメージを持っています(笑)。
- コンサート型
音楽に合わせて観客に視線やアピールを投げかけたり等、
見ている人を巻き込みながら一緒に盛り上がるタイプの演技です。 - 映画型
恋愛映画のワンシーンのように、
そこに作り上げられた世界に引き込むタイプの演技です。
投射では「観客とのつながり」を
一つの指標としていますが、
必ずしもコンサート型のように
観客に訴えかけるような動きだったり、
大げさな動きや表現が
要求されている訳ではありません。
映画型のように、
恋愛映画なら二人だけの
完結した世界だったり、
その人だけの世界観を
静かに表現するのでも良いのです。
映画のラブシーンって、
こっそり二人の世界を
のぞいているようで、
ドキドキしちゃいますよね…
個人的には、
★体の動き、感情、知性
→ 選手側 = 表現を行う側
★投射
→ 見る側 = 表現を受け取る側
にフォーカスしている感覚です。
身のこなしと動作の明確さ
身のこなしとは、最初から最後まで
パフォーマンスが継続しているか?
という事です。
例えば、
- 失敗が重なってしまい、
誰が見てもテンションがガタ落ちしてる - 疲れでだんだんと体の動きや表情が
弱々しくなってしまった
というのは継続性がない、と言えます。
また、
転倒は演技を中断させるもの
と考えられているので、
パフォーマンスの評価に大きく影響します。
動作の明確さとは、
指先や腕のライン、
ポジションや動かし方など、
魅せるための体の使い方の事です。
バレエの美しさだけが正解ではありません。
例えばヒップホップやコミカルな曲であれば、
指先がピン!と伸びてなくてもいいんです。
『あえてこうしてるんです!』
という意図が伝われば、
評価されます。
また、
フリーレッグが曲がっていたり、
指先がだらんとお化けのようにならないよう、
基本的な形をきっちりする事も大事です!
その動作が無意識か意図的かは、
見ていて結構分かりますよ!
動作が美しい選手は、
どの瞬間を切り取っても絵になります!
動きやエネルギーの多様さとめりはり
動きの多様さとは、
身体の色んな部分を使っているかどうか
という点で、
動きのバリエーションがあるか
を指します。
例えば、
指先、手、腕、肩、首、上体
などを使えているか、という事です。
めりはりとは、動きの強弱を指します。
例えば、
動きのリズムやテンポを変えたり、
動きの形や力強さ、大きさを変えたり、
という事です。
同じような動きばかりだと
「またこれか…」
とだんだん飽きてきてしまいます。
逆に、多様さとめりはりが豊かだと
アクセントが散りばめられて、
見ている人を飽きさせません!
独特性/個性
独特さやその人ならではの個性は、
プログラムをとても印象的なものにします。
小塚崇彦さんの本の中で
とても印象に残った一節を紹介します。
「これをやれば点数が出る」となると、みんなそれをやりますから、正直なところ、個性はなくなっていきます。(中略)
小塚崇彦(2019)『フィギュアスケート 氷の上で感じた世界』扶桑社(256) より引用
個性を見せ続けた存在として、浅田真央さんがいます。彼女はトリプルアクセルをずっと続けていました。(中略)それでも、自分の個性、思いというものをちゃんと持って跳び続けたからこそ、たくさんの人を魅了する唯一無二の存在になったし、浅田真央選手という人は魅力的なのだと思っています。
荒川静香さんのイナバウアーも
一つの個性として確立していますね。
他にも佐々木彰生選手や
カロリーナ・コストナー選手など、
個性を感じさせる魅力的な選手は
挙げればキリがありません。
(ペア・ダンスのみ)ユニゾンと「一体性」
ここでは、足元に限らず
全身の一体感が見られています。
また、必ずしも全く同じ動きを同時にしなくても、
一体感を感じさせる動きであればOKです。
(例)お互いが補完し合うような動き等
(ペア・ダンスのみ)パートナー間の空間的認識
ここでは、
- どれくらい近距離で滑れるか、
- 距離感を維持したり、
- 意図に合わせて自在に調節できるか、
といった事が見られています。
英語では “Space Management”と
表現されます。分かりやすいですね!
パフォーマンスが高いのはこんな人!
評価が高い演技の特徴
ここまでパフォーマンスの定義と評価基準を
細かく見てきました。
ここで、パフォーマンスの評価が高い演技の
特徴をいくつかあげたいと思います!
- ポジションや姿勢の一つ一つがいい
- 視線や表情にグッとくる
- 最初から最後まで演技が途切れない
- 観客が盛り上がっている、前のめりになっている
などなど、
思い浮かぶ演技もあるかと思います。
評価が高い演技はここがいい!
では、このような演技は
何が違うのでしょうか?
私は次の3つの要素があると考えています。
① どう表現しようとしているか(=知性)
が感じられる部分が多い
パフォーマンスの土台となる部分です。
② 表情や視線の作り方、動きが絶妙
これ、本当に難しいんです。
優雅な白鳥を演じたつもりが、
溺れかけのアヒルだと言われたり、
なんてことはよくあります。
③ミスが少なく、
最後まで集中力が保たれている
転倒やミスは、それ自体が
演技を途切れさせるので、
少ないに越したことはありません。
ちなみにパフォーマンスは
その日の出来不出来やコンディションが
大きく影響するので、
同じプログラムでもブレが出やすい項目です。
『失敗したどうしよう…焦る…』
『今日ノってる!最高!』
といった精神状態も結構影響します!
イチ押しお手本プログラムの紹介
ここまで長々とお話しましたので、
実際に名演技のパフォーマンスを堪能しましょう!
★ 宮原知子選手
2019 グランプリシリーズ 中国大会 女子FS
苦しみを共有しているような、
泣きたくなる気持ちになりました…
推したいところはたくさんありますが、
特に注目いただきたいのは、
動作のバリエーションが
豊かすぎる事です。
ポジションの独特さ、
全身の各所を細やかに使った多様さ、
動きのテンポ・強弱などのめりはりなど、
これほど多彩に動かせる選手はそういません。
★ 鈴木明子選手
2014 世界選手権 女子SP
クライマックスに向かうにつれて、
ドラマのような感動を感じさせます。
特に、曲が盛り上がる時の
エネルギーがものすごいです。
こう、ブワッと、溢れ出るような。。。
語彙力不足で表しきれません笑
動きの強弱や表情、
スピード感(爆走)、
リズムや間の取り方など、
全部が相乗効果を生み出しています。
この選手の大きな魅力の一つですね。
★ ステファン・ランビエール選手
2008 欧州選手権 男子FS
ピタッと決まるポジションの一つ一つが
かっっこいいです。。。
ステップ2つだけで何回再生したことか!
今回これを選んだポイントは、
動作の明確さがはっきりと見て取れるためです。
手指の細やかな使い方や動きのめりはり、
ブレない上半身など、
バレエ的な動きではなく
フラメンコの体の使い方が終始徹底されています。
22歳と思えぬ雰囲気と色気ですね。。
この選手もCO、PEで高く評価されています。
★ エフゲニー・プルシェンコ選手
2001 エキジビション
これぞパフォーマンス!!
観客の盛り上がり方がすごいです!
競技ではありませんが、
18年経った今でも私の中で
『プルシェンコといえばこれ!』
と強烈に印象付けられています。
解説者も
信じられないほどの個性だ HAHAHA !!!!
と終始爆笑してます。
解説聞いてるだけでもおもしろいです!
あえてまじめに分析してみました。
- 表情や細かい動きがぴったりすぎる
- 動きのテンポや強弱、スピード等が
一定でなく、めりはりがある - 予想外の連続で観客を飽きさせない
- 完全にコンサート型の投射
ちなみにこのナンバーは今でも大人気らしく、
2018年にもやってたようです。
最後に
今回はパフォーマンスについて
かなり詳しく説明していきました!
抽象的な部分も多かったかと思いますが、
いかがでしたでしょうか?
フィギュアスケートは、魅せてなんぼです。
が、バレエや舞台と大きく異なるのは、
失敗と隣り合わせだということです。
この失敗のリスクを孕むからこそ、
成功した時に感じる高揚感が
見る人の心をより一層動かすのだと
思います。
また、こうした部分に
フィギュアスケートという競技の
魅力や面白さを感じますよね。
パフォーマンスは
表情や視線、ポジション一つ変えるだけで
大きく変わります!
ぜひ今一度、ご自身のプログラムで
『どう表現したいか?』
をじっくり考えてみてください。
昨日よりも表現を深められる糸口を
間違いなくつかめるはずです!
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